チョイノリ50のエンジン分解 |
☆ エンジン修理
スズキの原付バイク、チョイノリ。 当時の定価59,800円。 究極の節約バイクとして発売されましたが、排ガス規制をこの値段でクリアすることは出来ずに生産中止となったバイクです。
スピードが出ない、力がないという症状。 このバイク特有の原因による故障です。
エンジン形式は半世紀以上前のプッシュロッド式。 しかしシリンダーは蒸着メッキシリンダーという最新の技術。 他に類を見ない独創的なエンジン。 つまるところ、いかにコストを抑えてバイクを作れるかというスズキの勇気ある挑戦で出来たバイクということになります。
原因はこの樹脂製のカムシャフト。 金属ではなく、プラスチックを使うという発想はすごい。 整備でも同じことが言えるけど、最小限度でやるということは、全てを知り尽くしてないと出来ない行為。 自信がないと過剰整備となる。 製造においても同じで、ホンダのカブのエンジンはオイルを入れなくても数日間は走ってしまうが、、他メーカーのものは走ってすぐにエンジンが終わってしまう。 ただ、カブとチョイノリのエンジンの大きな違いは、チョイノリは設計段階での技術であり、カブは基本設計+何十年にも及ぶ改良結果の技術という違い。 上の写真のカムシャフト山が1ミリ近く減っている。 段差の出来た部分がそれ。 この1ミリでスピード換算で10キロ違ってくる。 しかし、樹脂製というメリットも考察できるのは、部品交換がこのカムシャフト810円で済むという経済的メリット。 樹脂製なのでこのパーツのみに摩耗が集中し、他のパーツはダメージがない。 おそらくこの部品を金属加工で作るとなると10倍の8100円以上はかかるのではないか。 修理時のコストもユーザー様にとっては重要なこと。 たとえばホンダの水冷エンジンの原付バイクは高性能だが、エンジンパーツの値段が高すぎて、修理でなくバイク買い換えということになってしまうケースが多い。 ただ、このカムシャフト交換の作業コストが、スズキの意図したものであるのかどうかは、こちら側は解らない。 いずれにしても面白いエンジンであることは間違いありません。
このチョイノリに関しては、他にも面白い部分があるので後ほど。