エンジン分解作業 |
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☆ Z400FXアッチャン号
古い年式のオートバイ修理には、マニュアルとは違ったやり方を行うことがあり、それは経験に基づいた作業内容となります。
無骨なイメージの強いカワサキZ400FX。
小排気量エンジンから発展した各バイクメーカーとは異なる体質の、川崎重工業の作ったインラインフォアエンジン。
現行ゼファーとくらべ基本設計に変化がないということは、当時のエンジン設計は十分に練り上げて制作したものということになります。
修理の依頼は、シリンダー左部からのオイル漏れ。
見てみると、ほんのわずかなオイルのにじみが見られます。
写真ではわかりづらいが、テカっている部分がそれ。
シリンダーから上は、他店で一度O//Hをしてもらったとのこと。
シリンダーベースパッキンからのオイル漏れは、現行ゼファーでも、良くあるトラブルの一つです。
早速ヘッドから分解開始。
この年式のオートバイは整備する側のことも考えて作ったのかと思われる、エンジンマウント。
隙間が大きくて、作業はとてもやりやすい。
クルマの場合も、昔の車両はボンネットを開けると、地面が見えるぐらい隙間がたくさんありました。
現行のオートバイは、手の入る隙間はあまりないという感じで、マニュアルのフローチャートに沿って順番に作業しなければいけなくなってきている。
設計がデザインありきで、センサーやら電装品やらがやたらとついているから仕方がないのだろう。
外した部品を作業台の上に並べる。
とても綺麗な、エンジンです。
オイル管理がしっかりと行われていたことを示している。
オイルを換えないで乗っていると、オイルのスラッジがこびりついて、焦げ茶色になってしまいます。
エンジンをばらしてまず行うのは、作業台の上に並べるという作業。
この部分が、エンジン分解作業の肝で、この並べるというのは、単に置くということではなく、考察という作業に入るということを意味します。
各パーツの状態を念入りにチェックします。
計測ではなく目視のチェック。
マニュアルには、計測値しか載っていないが、実は計測だけでエンジンの状態を判断するのは不可能。
目で見た判断を経験と知識によって考察することによって、エンジンの状態を読み取るという作業をしなければいけない。
上は取り外したヘッドガスケット。
古い材質のガスケットで、輸入物の社外パーツか。
それとも当時ものの、レアな純正パーツか。
いずれにしても、ゼファーと同じメタル製のガスケットに交換します。
こちらは組み付け作業。
シリンダーにピストンを挿入した後、オイル漏れしていた部に、液体ガスケットを薄く塗布します。
このやり方は念のための作業。
ベースパッキンの方も、ヘッドガスケットと同様に、新しい素材で密着性の良いガスケットに変更されていますが、クランクケースの変形が許容範囲を超えている可能性を考慮して、液体ガスケットを追加。
バルブタイミングを合わせ、ヘッドカバーを取り付ければ、エンジンの組み立ては終わり。
このカバーのボルトはやたらと数が多い。
エア工具を使いたくなりますが、ここは優しくハンド作業。
エンジン分解を数多くやってた頃は、エア工具を多用していたけど、今はじっくりと半分楽しんで作業をしているのでハンドツールを使います。
人間の手術でいえば、開腹手術が終わって針を縫うところ。
福岡在住のアッチャン。
ピースサインを頼むと、それだけは勘弁してくださいといわれた。
照れ屋のアッチャン。
長く預かったままで、すみませんでした。